Anotherを終えて〜彼らの待つ朝とは〜

先日、Another〜新たなる冒険〜を観劇し私の4公演のAnotherのうち残すところあと1公演になったところで3回のAnotherの中から私の中での考察を備忘録としてここに残しておこう、、、と思っていたのですが感情が制御できなかったので結局Another私的千穐楽迎えました!

 

 

私は大西風雅君を推している。尚且つジャニオタになる物心ついた頃には双眼鏡芸人をしているので風雅君メインの考察というよりは風雅君しかありません。(と言いつつトア、タクヤの考察もしてます)

 

 

まずフウガについて。

フウガは(観劇後)パンフレットを読むまで比較的冷静に物事を判断して発言しているのだとばかり思っていました。でも実際は、感情的になりやすく、ストレートに思ったことが口から出てしまう役柄だそう、、、声色のせいもあるのでしょうか。

 

 

まぁ本題はこんなことではありません。フウガについての考察です。彼が何を思い何を考えていたのか私なりに考えました。

 

 

まず、フウガの立ち位置についてです。

トアがリーダーなのは劇中でも語られていましたが私はフウガはリーダー補佐、副リーダーのような立ち位置ではないかと思っています。リーダーに定義なんてないし在り方は人それぞれです。ですがトアはリーダーとして引っ張っていくような役割。そんな必要不可欠の存在がなくなってしまった時に皆は誰についていけばいいのか困惑してしまいますよね。そこでメンバーをコントロールしているのがフウガだと思います。

 

  • タクヤの胸の内をトアに向けて明かし泣き崩れるシーン きっとあんなに泣き崩れていたら子供達にも聴こえていたはず。それでも子供達が不安にならないようにフウガやオッサン(リク)を中心に遊んであげていた。
  • 本拠地の周りの偵察 冷静な判断やある程度のリーダーシップがないと子供2人連れて未知の土地には入れないはず。きっと何がなんでも守る自信があったのだと思う。
  • ルウクの失言 ルウクが失言してしまうシーンでは間髪入れずに「おい!」とルウクを止める
  • 謎の儀式フウガを先頭に舞台に出てくる。多分ここにつくまでも先頭切って走ってきたのだと思う。
  • 島民との交渉など会話 儀式の最中でトアがルウクを庇って言い訳しているのを止め、代わりにフウガが話す。自分達が敵とみなされている間は不機嫌のような威嚇した声で話している。(タクヤと揉めたときも威嚇したような声色)
  • 対立する島民との戦い 前3人(センターからフウガ トア タクヤ)後ろ2人(ルウク コタロウ)で一番センターの島民に近い場所
  • トアに選択を委ねられた時 トアの独り言を聞きつつ考えが危ない方にいきそうになると声をかけて止める
  • 船で島を出ることを決めた時 「いくぞ!」『おー!!』の掛け声をしているのはリーダーであるトアではなくフウガ
  • 船の出港のシーン トアが船に乗っていない時は必ず真ん中に立ち、トアが船に乗ると必ず下手に避ける。「出港ずるぞ〜!錨を上げろ!」というのもフウガ(トアは船には乗っていない。乗っていたらトアが言っていた?)

 

あげてみるとなかなかたくさんありましたね。

ですがフウガはAnotherのメンバーにとってバランサーとも言える役割だと思っています。トアがリーダーとして皆を引っ張っていることをしっかりと認識しトアはこのメンバーに必要な人間だということを理解して危険な役回りをしていたのではないでしょうか。フウガ自身もリーダーになる気はないけれど仲間の為にバランスを見て立ち回ることができるキャラクターだと思います。

 

タクヤと衝突することが多かったフウガですがタクヤと対立するときは決まって仲間のため、気が沈んでいる仲間を勇気付けたり、いつ帰れるかわからない状況の中で少しでも早く日本に帰るため。

 

これはあくまで私の想像ですが一番初めにタクヤと対立するシーン。

実はわざとあんなことを言ったのではないかと思っています。親友のウラが死んでからトアの肩を借りて泣くシーンでもただ泣くだけでタクヤは自分の想いを言葉にしません。そんなはずはないのに「トアの顔見てたら締めっぽくなっただけ」というのです。そんなタクヤを見計らってタクヤの反感をわざと買い、吐き出したくても弟(コウスケ、アオイ)の手前溜め込んでしまうタクヤのために本音を吐き出させたのではないかと思っています。

 

そして、私がこのAnotherという舞台で1番印象に残っているシーンはなんと言っても

タクヤとフウガの仲直りのシーンです。

 

トア「約束してくれ。この島を出るまでもう決してお互いを傷つけ合わへんって」

フウガ タクヤ『約束する』

トア「絶対に生き抜こう」「生きよう」

フウガ タクヤ『生きろ』

 

私はここである違和感を抱きました。

 

トアは「生きよう」なのに対して、フウガとタクヤは『生きろ』、、、?

 

トアはタクヤ、フウガ含め3人で生き延びるつもりだけど、タクヤとフウガはまるで自分以外の2人に言っているようですよね。

 

タクヤはこの時点で生きることに興味をなくしているように思います。(私はあまりタクヤに注目して見たことがないので有識者がいればぜひ補足をしてください)私が見たかぎり、飛行機が島の上空を飛んでいくシーン。みんなは必死にアピールしているのにタクヤだけボーっと眺めているだけ。親友のウラの手を自分が離してしまった罪悪感もあるのでしょうがこの時点でもう既に生にあまり執着していなかったのだと思います。

 

そしてフウガもまた、自分自身の命をあまり重く見ていないように感じます。死んでもいいというより自分が生きることよりもどんな形であっても仲間を死なせない。というような少し歪な友情の形を感じます。そして特にトアとタクヤに対してその思いを強く感じます。フウガにとって自分が生きることよりもタクヤとトアが生きることが何よりも最優先事項なのではないかと感じました。航海に出るまでの彼らはトアとタクヤ以外は深く語られていません。トアとタクヤ、フウガの関係性から見ても、今回語られていない部分でフウガにとってトアとタクヤは何者にも変えられない特別な存在になったきっかけがあるのではないかと思います。

 

そしてこのAnother。演者のそれぞれの性格などが少し反映しているのではないかと思っています。今話したようなフウガの隠れたリーダー性は大西風雅にも少なからず共通していると思います。メンバーを俯瞰的に見て今のLilかんさいに足りないものを判断したりバランスを見て仲良くしたり(不仲という訳ではないと思いますがメンバー内で偏りが出ないように話す人や仲良くする人を見計らっているようにも感じます)そしてファンのことを誰よりも大切に思っているところも、メンバーを大切に思うフウガと共通しているのだと思います。

 

そしてここからは完全に深読みオタクの深読みなのですが

島長に「日本に戻ってもこの島のことについて沈黙をすると誓えるか?」という問いに対してルウクはすかさず「誓います!思いっきり誓います!」と言います継いてコタロウや他の子供たちも約束します。島に残るタクヤ以外は約束する中、島長の目の前にいるフウガは一向に口を開きません。(初めて見た時はあまり気にしていなかったのですが、それがだんだん確信に変わりました。)

そして出港のシーン、船の上から2回ほど手を振る場面がありますが2回ともそしてどの公演でもフウガは手を振りません。手を振ることに抵抗があるのかとも思いましたが別れの挨拶をする際島民と熱く抱擁をしています。そして対立を経て仲良くなった彼らにフウガだけが手を振らない理由があるのでしょうか。

 

私はフウガはまた近いうちにこの島に戻ってくるつもりなのではないかと思っています。そして、日本に帰っても沈黙を守る気はないのではないでしょうか。日本に帰って島の現状を広め島の人々が生きやすい環境を作って迎えにくる気なのだと思います。

島長からこの島の人々は被爆者の先祖だと聞いてすぐに島民に近寄り「そうなのか?」『うん』のような会話を繰り広げています。それも1人だけでなく複数人と。リーダー性が強いフウガがそんな苦しんでいる人々を放って置けるはずがないと思うのです。なので、もし第2章があるとすれば日本に帰ったフウガが島の人々を迎えにいくために動き出すのではないでしょうか。

 

次に最後のポエムです。

 

ハムレットは言った。

To be or not to be. 生きて留まるか、消えて無くなるか。

Beatlesは言った。

Let it be. 全てあるがままに、と。

 

だから僕はこう答えよう。

Let me live.

我を生かせ。僕は生きる。と。

 

この2つの日本語訳。違和感がある。トアの一人称は僕なのにも関わらずここでの一人称は2つ。『我』と『僕』僕はトア自身のことだと思っていいと思います。でも我はトアの言葉ではないとしたら、、、それはもしかするとハムレットの言葉なのかもしれない。今までハムレットの生き様に影響されトアの判断があった。そして我を生かせ。というのはハムレット自身の答えなのではないか。と感じました(またハムレットのお話読みます)

トアが生きることを望む限りトアは生き続けるのです。

そしてこの言葉

若者たちよ。生きろ。今この時を懸命に生きろ。

 

この言葉。

『若者達よ。生きろ』という言葉は船が出港するタイミングで島長も「生きろ。未来の若者達よ」言っています。さすが親子ですね。そして若者達よ。と言っているのでこれはトアが未来の若者になり、もっと歳を重ねてからの言葉だと思います。なのでこの言葉がもしトア自身の言葉ならトアはある程度の歳まで生きているのだと思います。

きっと歳を重ねるごとにたくさんの経験をしてそれでも尚あの無人島での日々は印象的で忘れられないものだったのでしょう。仲間を失い、ずっと憎しみ続けていた父親に再会し、真実を知り。トアも言っていましたが必死に自分自身の命について考えた数日間。トアの中の何かを明確に変えその後の人生に大きく影響したのでしょう。そして死ぬことよりも今を生きる尊さをその身で感じたのだと思います。

 

 

 

 

彼は言いました。

『明けない夜はない。きっと明日はいいことがある。』

 

明けない夜はない。

二重否定は強い肯定になる。だから、必ず朝はやってくる。

 

願わくば彼らの生きる今が明るい未来へと繋がっていますように。

 

 

 

感想

このAnother〜新たなる冒険〜は私の中でもすごく思い入れの深い舞台になりました。私自信がトアや島民と同じような立場なのもあるとは思いますが、初めて松竹座に足を踏み入れ必死に舞台の上で表現している姿。言葉が出ませんでした。そして約1ヶ月の公演を通してLilかんさい含め全てのキャストの成長が感じられましたし、アドリブを抜きにしても全ての公演どれひとつ同じ公演はありませんでした。風雅君に絞っていうと、ウラ弟が死ぬシーン毎回明確に成長していましたし、私的千穐楽では思わず涙が出てしまいました。そしてLilかんさいが舞台に横並びになる姿、日に日に大きくなっていきました。最年少での初座長公演、Lilかんさいがここまで伸び伸びできたのは(時には小道具を壊し客席に落としていましたが笑)このAnotherカンパニーのおかげだと思います。関係する全ての方にこの最高の舞台を作り上げてくださった感謝を伝えたいと思います。5月公演、事態が終息しより良い舞台に進化していますように。

 

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そしてこれは完璧な余談なのですが、約束のネバーランドという漫画のメインキャラクターの3人にフウガとトアとタクヤがすごく似ているんです。タクヤが生きることに執着しなくなったりトアが全員で生き延びようというシーン。そのほかにも周りの子達も似ているなと感じる部分はあるのですが、約束のネバーランドを読んだ上でAnotherを見ると少し解釈の仕方が変わる気がします。なので5月の追加公演前に気になる方は是非読んでみてください。(風雅くんもいつか約束のネバーランドのことを話していたはず)